コロナウイルス感染症で亡くなられた方々に深く哀悼の意を表するとともに、治療中の皆様の一日も早いご回復、そして一刻も早い事態の終息を願っております。また、医療現場の最前線で治療にあたっている医療従事者の方々に、心から敬意を表します。

1996年三田会の卒業25年記念事業を実行するにあたり、実行委員会メンバーの想いをお伝えしたいと思いますが、まずは、そもそも『卒業25年記念事業』とは何かについて簡単に説明いたします。

毎年、慶應義塾は、卒業25年を迎えた塾員を大学の卒業式に招待しています。また、この節目となる年に大同窓会と慶應義塾への寄付を行うことが通例となっています。

これらの、①大学の卒業式に参加するとともに大同窓会を開催する、②その準備として名簿の整備など同期の絆を強めるためのネットワークを再構築する、③現役学生を支援する奨学基金をはじめとした慶應義塾への寄付を行う、の3つを柱とした事業を行うのが『卒業25年記念事業』です。実行委員会メンバーは、この記念事業を盛大に行うべく準備を進めてきました。

しかしながら、コロナウイルスにより、私たちを取り巻く環境は大きく変わりました。特に、大人数の人たちが直接会って交流を深めることが社会的に許されないという状況の中で、記念事業の在り方を見直す必要が出てきており、実行委員会メンバーの中でも何回も議論を重ねてきました。そして議論を重ねる内に、自然と出てきた言葉が「自我作古(じがさっこ)」でした。

自我作古とは、「我より古を作す(われよりいにしえをなす)」と訓み、前人未踏の新しい分野に挑戦し、たとえ困難や試練が待ち受けていても、それに耐えて開拓に当たるという、勇気と使命感を表した言葉で、義塾の信条となっています。今の時代に最も求められている考え方と言っても過言ではないかと思っています。

この自我作古を1996年三田会のキャッチフレーズとし、これから迎えるであろう新たな時代にふさわしい記念事業を実施したいと思っています。

また、記念事業の柱の一つである奨学基金も設立いたします。

奨学基金設立については、いろいろな意見があるかと思いますが、ニュースでも伝えられているように、私たちの後輩である多くの現役学生たちが、金銭的理由により学ぶことを断念せざるをえない状況に追い込まれています。上野で戦争があった時でも義塾を閉鎖せず勉学の灯を消すことなく灯し続けた福澤諭吉先生が設立した慶應義塾にとって、学びを志す学生の活動は、どのような理由があろうとも止めてはいけないと思っています。私たちが奨学基金を設立することにより、将来のリーダーになるべく若者を支援してゆきたいと思っています。

最後になりますが、この記念事業の活動に一人でも多くの同期の方のご賛同をいただき、奮ってご参加いただければと思っています。

皆様とお会いできるのを楽しみにしております。

1996年三田会 実行委員長

湧永 寛仁(経済学部卒)

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