02 世界を舞台に活躍する日を夢見て 近藤明優(商学部4年生)
慶應義塾大学の魅力は「社中協力」の精神が根付いていること。「塾員」(卒業生)で結成される様々な「三田会」(同窓会)や篤志家からの支援による奨学金が数多くある。奨学生は「義塾社中」による支援を実感しながら学業に励むことができるのである。今回はそのような奨学生の一人である近藤明優さん(商学部・4年)に、学生生活、そして義塾への想いについて話を伺った。
海外への興味と慶應義塾大学商学部への進学
――近藤さんは、高校時代をどのようにすごしていたのですか。
近藤 とにかく海外に対して興味を持っていました。洋楽が好きで、叔母がハワイに住んでいたりしたこともあったと思いますが、これから生きていく人生の中で、いろいろな国に行って、いろいろな人と会ってみたいと思っていました。勉学に関しても世界史や西洋美術などがとても好きでした。
――海外志向の強い高校生だったんですね。慶應義塾に進学しようとした経緯を教えてください。
近藤 国立の中学・高校で過ごしてきたのですが、大学は留学プログラムやサークルなどのバリエーションが豊富なイメージのあった私立に進みたいと思いました。そんななか指定校推薦で慶應義塾大学の商学部の枠があって、詳しく調べてみると、いわゆる簿記などだけでなく、語学にも力を入れている学部であることが分かりました。例えば、第二外国語はスペイン語を履修していたのですが、通常は週に2コマのところ、3コマ受けられる「インテンシブコース」というプログラムがあったことに惹かれました。また英語についても、TOEICのテストを受けて点数に応じたクラスに分けられるため、自分自身のレベルに合った授業を受けられる点に魅力を感じました。
――そういう意味では、西洋の学問を日本に持ち込んだといわれる福澤諭吉先生が創立した慶應義塾は、近藤さんにピッタリの大学でしたね。
近藤 はい、入学してから気付いたこともいろいろあるのですが、福澤先生は文学から自然科学に至るまであらゆる学問を西洋から日本に持ってこられて、日本の文明開化に大きく貢献されたんですよね。福澤先生が関与していなかった学問はないというほど、広く研究されていたことを教授から学びました。
――入学してみて感じたことは何かありましたか?
近藤 一貫校からの進学者と、大学から入ってきた人が、パッと見てびっくりするほど分かり易かったことをよく覚えています。また、OBの方々の慶應愛の強さも感じました。70代や80代といった先輩卒業生が集うパーティーのお手伝いに伺ったことがあるのですが、その際にお話しさせていただくと、皆さん慶應義塾の卒業生であることを誇りに思っていらして、楽しそうにお話をされていたのがとても印象に残っています。
奨学金制度が成長を後押ししてくれた
――ところで、近藤さんは、どのような経緯で奨学金を申請する事になったのですか。
近藤 父は番組制作の仕事をしていたのですが、父が長らく携わっていた長寿番組が大学入学直後に終わってしまい、仕事全体が不安定になってしまうということがありました。弟が2人いる家庭ですので親にもあまり負担をかけられないと思い、奨学金を申し込んだのです。2年次に1993年三田会記念大学奨学金、3年次に1994年三田会記念大学奨学金をいただきました。申請時には、所得証明書など家計の状況をお伝えする書類と、成績表、そして800字の論文を提出しました。
――なるほど、その論文は、どんなテーマでどのような内容だったのでしょうか。
近藤 「いま力を入れて取り組んでいること、学生時代に成し遂げたいこと」といった内容だったと思います。私は語学に力を入れていたので、スペイン語、韓国語の勉強に力を入れて取り組んでいたことや、短期留学プログラムでイギリスに行ったことなどを交えて、立派な国際人になるべく一所懸命チャレンジしていることなどを書きました。また、サークル活動で慶早戦の運営サポートをしていることなども記しましたね。
――慶早戦の運営サポート? それは、何というサークルなんですか。
近藤 「慶早戦支援委員会」といいます。学年あたり約10人、全体で40人ほどの団体です。
――具体的にはどのような活動を行うのか教えてもらえますか?
近藤 主な活動は春秋に行われる東京六大学野球の運営支援です。試合の2週間前から、キャンパス内で1枚500円の「応援席券」を販売しています。そのほか広報活動を行ったり、試合当日は神宮球場周辺でコーンや立て看板を使った誘導などをしたりするのも大事な仕事です。そして毎シーズン「優勝準備委員会」を立ち上げて、優勝した時のパレードの運営に備えます。もちろん、実を結ぶのは優勝した時だけなのですけれども。
――そういうサークルがあるのですね! なぜ、その慶早戦支援委員会に入ろうと思ったのですか。
近藤 もともと、野球を観るのが好きだったんです。慶應も野球が強いので、何らかの形で関わりたいなと思いました。
――勉強もさることながら課外活動も精力的ですね
近藤 学生のうちにできることを一杯やっておきたいと思っています。その意味でも奨学金は有難いです。経済的な理由で諦めなくてはならないことを減らすことができました。エクセルシオールカフェでアルバイトもしているのですが、2年生の時にTOEICの勉強に集中したかった際は、アルバイトにもなかなか入れませんでした。でも、奨学金をいただいていたのでTOEICに専念することができ、念願の900点越えを達成できました。また、3年生の夏休みに韓国に語学留学をしたのですが、このような国際的な経験を重ねられたことも経済的な支えがなかったら難しかったかもしれません。
――なるほど、奨学金がそうやって近藤さんの知識や経験に繋がっているのですね。最後に、来春就職されるとの事ですが、どのような社会人になっていきたいと思っていますか。
近藤 全体最適を考えらえるゼネラリストになりたいと考えています。3年生の春に慶早戦支援委員会の広報担当リーダーとなり、3か月広報活動に注力したのですが、「グループ全体が不安を感じることなく各自の力を発揮するにはどうしたら良いのだろう?」と悩んだことがあります。その経験から、「仲間が力を出して目的に向かって進む環境を創出できる人になりたい!」と思ったんです。また、就職先の日本通運には海外研修制度があるので、それを絶対に活用したいと思っていますし、海外情勢を常に勉強しながらゆくゆくは海外駐在もしてみたいです。そして、しっかり稼いで、2021年三田会の奨学金などに寄付できるようになりたいです。
――夢が膨らみますね。残りの学生生活、そして、来春からの社会人生活、ますます頑張って活躍してくださいね。応援しています!
【プロフィール】
近藤明優(こんどう・あゆ)
1998年生。東京都府中市出身、神奈川県鎌倉市在住。
東京学芸大学付属高等学校出身。商学部4年(加藤一誠ゼミ:交通経済学)
所属サークル:慶早戦支援委員会、
趣味:野球観戦、音楽・美術鑑賞
一言:「今、慶應義塾の野球部がとてもアツいので、皆様慶早戦にぜひお越しください!応援席券は1枚500円で各キャンパスにて販売いたします!(通常時)」
インタビュー・構成:余語徹郎(理工学部電気工学科、政策・メディア研究科)
文・校正:中村聡宏(法学部法律学科)